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2026/10/12 14:19
革製品の縫製には、大きく分けてミシン縫いと手縫いの2つの方法があります。
ミシンを使えば、短い時間で均一に縫い上げることができます。それでも、前田工芸では手縫いにこだわった製作を行っています。
それは、単に昔ながらの製法だからという理由ではありません。
1針ずつ確かめながら

手縫いの魅力のひとつは、1針ずつ自分の手で確かめながら縫い進められることです。
革は天然素材であるため、厚みや硬さ、質感が部分によって異なることがあります。
そうした革の状態に合わせて糸の締め具合を調整し、1針ずつ丁寧に縫い進めていきます。
時間はかかりますが、仕上がりを自分の手で確かめながら製作できることを大切にしています。
手縫いならではの丈夫さ
手縫いには、一般的に「サドルステッチ」と呼ばれる縫製方法があります。
一本の糸の両端に針を通し、革に開けた穴へ左右から交互に針を通して縫い進める方法です。
ミシンによる本縫いとは糸の組み方が異なり、一部の糸が切れた場合にも、縫い目全体が連続してほどけにくいという特徴があります。
ミシン針には通らないような太い糸を使って縫えるのも、手縫いの魅力のひとつ。
もちろん、製品の耐久性は革の状態などによっても変わりますが、長く使うことを前提とした革製品に適した縫製方法のひとつだと考えています。
素材に合わせた縫い目
縫い目は、革製品の印象を左右する大切な要素です。
前田工芸で使用しているのは、フランスの Fil Au Chinois(フィル・オ・シノワ) の麻糸。

縫製前には2度のロウ引きを行い、1度目は熱で溶かしたロウを糸の内部まで染み込ませ、2度目は表面をコーティングしています。
糸の色や締め具合、縫い目の角度まで意識しながら、革の表情に合った仕上がりを目指しています。
贈り物としての手縫い
店頭で製品をご覧になったお客様に、手縫いで仕立てていることをお伝えすると、驚かれることがあります。
一見すると小さな縫い目ですが、そのひと目ひと目を人の手で縫い上げていることは、手仕事ならではの特徴です。
大切な方への贈り物として選んでいただく際にも、こうした製作の背景が、製品に込められた特別な価値のひとつになれば嬉しく思います。
贈る方の想いとともに、長く使っていただける革製品を。
手縫いという製法には、そんな魅力もあると考えています。