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2026/10/01 00:50
時間とともに育つ革
前田工芸で使用しているイタリアンレザーには、使い込むほど艶を増し、色を深めていくという共通した魅力があります。
その豊かな経年変化を生み出している背景のひとつが、イタリア・トスカーナ地方に伝わる「バケッタ製法」と呼ばれる革づくりの文化です。
1,000年以上もの歴史あるこの製法はとても手間がかかるため一度は途絶えてしまいましたが、前田工芸でも使用しているミネルバボックス・プエブロを製造している《バダラッシ・カルロ社》がその製法を現代に甦らせました。
植物の力で革を作る

バケッタ製法の基本となるのは、植物タンニン鞣し革(ヌメ革)です。
樹木などから得られる天然のタンニンを利用し、動物の皮を丈夫で長く使える「革」へと変化させていきます。
短時間で均一に仕上げることを目的とした製法とは異なり、植物タンニン鞣しには時間と職人の経験が必要です。
トスカーナでは、この伝統的な革づくりが長く受け継がれ、現在では昔ながらの知識と現代の技術を組み合わせながら生産されています。
オイルをたくさん含んだ革

バケッタ製法の革には、鞣しの後に油脂を与える工程があります。
長い時間をかけてオイル槽に革を浸し、革の内部まで油分を含ませることで、しっとりとした質感やしなやかさが生まれます。
そして、この油分こそが使い込んだ時の美しい変化にも大きく関わっています。
手で触れることによる摩擦や体温、日光、日々の使用によって革の表面は少しずつ変化し、使い始めにはなかった艶や深い色合いが現れていきます。
受け継がれる革作り
現在もトスカーナには、植物タンニン鞣しを専門とするタンナーが集まる産地があります。
伝統的な製法を守りながらも、現代の技術や研究を取り入れ、それぞれのタンナーが異なる個性を持った革を作り続けています。
前田工芸で使用しているブッテーロ、ミネルバボックス、プエブロも、そうしたトスカーナの革づくりから生まれたレザーです。
●滑らかで端正なブッテーロ。
●やわらかく自然なシボを持つミネルバボックス。
●荒々しい表情から大きく変化していくプエブロ。
同じ植物タンニン鞣しの革でありながら、その表情や手触り、経年変化はそれぞれ異なります。
革製品は、作り終えたその日が完成ではありません。使う人と過ごす時間によって、少しずつ完成へ近づいていく。
前田工芸では、そんな革の魅力を楽しんでいただける製品を作っています。